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STATION
四条河原町 交差点
monologue
さだよ
あれはいつだったか、若いころ
交差点だった 彼女が来るのを
「きはるかなあ」と待ちわびて
日陰のところで、待っていた
交差点の向こうに、彼女が見えると うれしくて
あのころは、生地を買って
服を縫うしかなかったから
あの通りの、あの生地屋さんが安かった なんて話して―――――
dialogue
さだよ×ひろこ
……(――さだよが待つ場所へ、ひろこがやってくる)
さだよ 遠くから見ても ひろこさんだって、わかったよ
ひろこ ああ、そう? ごめんね、すこし遅れて
さだよ いやいや、いいんだよ そんなことは
ひろこ それにしても、暑いねえ
さだよ ちいさいころさあ
お父さんが、野球につれてってくれる って言うんだけど
炎天干しの日でさあ 炎天干しだから、嫌だって言っても
「アイスキャンディ買うたるで」って 連れていかれたなあ
ひろこ さだよちゃん、おはぎも好きだもんね?
……
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